【F1】ポーポイジング?ポーポシング?ポーパシング?【発音とカタカナ】

こんにちは。

2022年のF1シーズン前テストで話題のporpoisingですが、日本語では様々なカタカナ表記を見かけます。ポーポイジングポーポシングポーパシングなど様々ですが、英語の発音を元に読み方・書き方を考えると何が正しいのか見ていきます。

porpoisingとは

そもそもの話ですが、porpoisingはグラウンドエフェクトカーで起きやすいピッチング(縦揺れ)のことです。車高の低さによって瞬間的に車体前部からの空気の取り込みが無くなるとダウンフォースが弱くなり、それによって車高が上がって空気を多く取り込むことで再びダウンフォースが強くなって車高が下がり、また空気を取り込めずダウンフォースが弱くなり・・・と繰り返すことで、マシンが前に傾いたり後ろに傾いたりを繰り返す状態です。

F1は接近戦を増やすことを目的にした2022年のレギュレーション変更で、数十年ぶりにグラウンドエフェクトカーを再導入しました。近年のF1ではほとんど見られることが無かったporpoisingが大きな話題となり、ダウンフォースが大きくなるストレートエンドでぴょんぴょんと跳ねるマシンに多くの人が注目しています。

多くのチームがporpoisingに悩まされており、ドライバーの頭が上下に激しく振動する様子を見ていると、単純に乗り物酔いや視界の悪さだけでなくドライバーの首や脳への影響も心配になってきます。解消するには車高を上げればいいだけですが、それではベースとなるダウンフォース量がそもそも減ってしまうので、速さを捨てることになります。また予選一発は良くても燃料を積んで重くなったマシンでどうなのかなど来週の開幕戦まで興味は絶えません。

ちなみに「porpoising」という単語は「porpoise」のing形ですが、porpoise自体はイルカ(特にネズミイルカ)を表す単語です。マシンの上下運動(バウンシングと言う人もいる)がイルカが上下にくねくね泳ぐ様子に似ているためにporpoisingと呼ばれているようです。

で、どう読むの?

本題ですが、porpoisingが数十年ぶりに話題になったとき、日本では「ポーポイズ現象」「ポーポイジング」という表記が多く見られました。単語の綴りを素直に読めばポーポイジングになります。Wikipediaにも「ポーポイズ現象」という項目があります。

一方で、F1公式の中継を担当しているイギリスのF1中継を見ると、「ポーポシング」「ポーパシング」と発音しているように聞こえます。実際に元になっている単語porpoiseの発音記号を見てみると、ˈpɔːpəsまたはˈpɔːɹpəsとなっています。ɔはall(オール)やwar(ウォー)と同じ発音であり、日本語では「オ」と書くのが一般的です。əについてはa(ア)やthe(ザ)と同じ発音であり、「ア」で書くことが多いです(connectなど「オ」で書くような単語もあります)。これを踏まえると、発音を元にカタカナ表記するのであれば「ポーパシング」と書くのが良い気がします。実際porpoisingという単語自体がF1界隈で一般的になってくると、「ポーパシング」「ポーポシング」と表記する日本語メディアも増えてきました。

カタカナじゃ発音表せない問題

「ポーポイジング」は綴りをローマ字っぽく読んだ結果かと思います。実際noiseはノイズと読みますし、初見でポーパスと読めたらすごいと思います。一方で、陸ガメを表すtortoiseは「トータス」と読みます。今回のporpoiseはこちらに近い発音ということでしょう。

また、英語の母音は17種類あると言われており、アイウエオの5種類しか無い日本語のカタカナで表記しようという方がそもそも不可能です。子音についても同じことが言えるので、英単語をカタカナで表記するということは妥協が必要だと言うことですね。

ガスリーやアロンソも「Gasly」「Alonso」で綴り上「s」なのでこう書かれますが、結構英語中継での発音を聞いていると「ガズリー」「アロンゾ」と書きたくなります。名前に関しては母国読みか英語読みか(ロズベルグ・ロズバーグ問題)も絡んでくるのでカタカナ表記は余計にややこしいですね。


というわけで今回は、2022年のF1で話題のporpoisingは「ポーパシング」と表記するのが良さそう、でも英単語をカタカナで表記すること自体無謀だという話でした。「角田」の「ツ」は海外の人は読みにくそうですし異なる言語の発音問題を乗り越えるのは難しいですね。

それではまた。

関連記事