こんにちは。
JR東日本の一部路線では、普通列車に2階建てのグリーン車が連結されています。数百円プラスで進行方向向きの座席にゆったり座れるとあって、ちょっとした贅沢として使うことも多いです。そんなグリーン車にはグリーン車Suicaシステムが導入されていますが、モバイルPASMOでは利用することができません。モバイルPASMOでJR東日本の普通列車グリーン車を利用する方法を紹介します。
2023/12/16追記
12月15日に普通列車グリーン車の料金体系変更が発表され、モバイルPASMO利用者がグリーン車を利用しようとすると割高になることになりました。料金体系変更の影響については以下の記事をご覧ください。
2024/01/07追記
この記事で紹介しているのは磁気グリーン券を使ってグリーン車に乗る方法です。上記の料金体系変更後もお得になるモバイルPASMOユーザーがモバイルSuicaを併用してグリーン車に乗る方法についても記事を公開しているのでぜひご覧ください。
普通列車グリーン車は自由席
JR東日本では、比較的長距離を走る路線に普通列車グリーン車が導入されています。具体的には、上野東京ライン・湘南新宿ライン系統(宇都宮線・高崎線・東海道線・常磐線)、横須賀線・総武線快速系統です。これらは最長15両編成での運転となっており、そのうち2両が2階建てのグリーン車となっています。なお、2023年度末に中央線快速系統にも導入が予定されていますが、他路線と比べて路線距離が短いこと、10両編成に無理やり2両足して12両編成での運転とすることから賛否両論です。
近年は大手私鉄が続々と着席指定列車を導入しています。1編成まるまる着席指定列車にするものもあれば、1両だけ着席指定車両とするものもありますが、JR東日本のグリーン車との違いは座席が指定されているということです。着席指定列車はあらかじめネットや券売機で座席を指定して購入し、指定した席にしか座ることができません。一方でJR東日本の普通列車グリーン車は自由席となっており、極端に言えば席に座ってからグリーン券を購入することも可能です。ただし、席が空いておらず座れなかった場合でもグリーン券の購入が必要です(払い戻しは可能ですが)。
座席は進行方向を向いた2×2の4列シートとなっており、有料特急や新幹線のような雰囲気です。2階建てになっているため1階でも2階でも普段と違った車窓を楽しむことができ、短い距離でも気軽に旅行気分を味わえるプチ贅沢として人気です。平日のラッシュ時では座れなかった場合でも他の車両よりは空いているため、少しでも混雑を避けたいという人に利用されています。ちなみに新型車両E235系の導入が進んでいる横須賀線・総武線快速系統のグリーン車には、各座席にコンセントが設置されています。これは旧型車両(E217系)や他の路線の車両には無い特徴であり、今後はこれが標準サービスになっていくと思われます。ありがたいですね。
グリーン車Suicaシステムで車内改札を省略
カードタイプのSuicaやモバイルSuica(Apple PayのSuica含む)を利用している場合、グリーン車Suicaシステムが利用可能です(Suicaと相互利用可能な交通系ICカードでも可能です)。グリーン車Suicaシステムでは、あらかじめアプリや駅の券売機でグリーン券を購入しておき、乗車後に座席の天井部分にあるICカードリーダーにSuicaやSuicaを取り込んだ端末をタッチするだけで乗車の扱いとなります。乗車区間の指定や料金の支払いが済んでいるため、グリーンアテンダントによる検札(車内改札)を省略することができます。
システム自体はJR東日本在来線特急の座席未指定券に似ています。座席上部のランプが赤色に点灯している場合はその席を指定している他の乗客がいないため利用可能、緑色に点灯している場合は他の乗客が予約済みの座席のため利用不可能、といった感じです。グリーン車ではそもそも座席の指定ができないため、赤色が点灯している座席でリーダーにタッチすることで緑色に切り替わるようになっています。座席が空いていても緑色になっている場合はトイレなどで席を離れているだけなので座らないようにしましょう。
グリーンアテンダントから見ると、緑色が点灯している場合は既にグリーン券の購入が済んでいる人であるため、声をかける必要がありません。一方で赤色が点灯している座席に乗客がいる場合は、グリーン券を購入せずに乗車した(車内でグリーン券を購入する必要がある)か、駅の券売機で磁気グリーン券を購入した(正しい乗車区間か確認する必要がある)乗客であるため、グリーンアテンダントは車内改札を行う必要があります。これが乗客から見ると、ネガティブイメージの赤が利用可能を表し、ポジティブイメージの緑が利用不可能を表すため、分かりにくいと言われることもありました。色覚異常の私からするとそもそも赤と緑を同時に使うことをやめてほしいですが。余談でした。
モバイルPASMOではグリーン券Suicaシステムは利用不可能
グリーン車Suicaシステムは、Suicaにグリーン券の乗車区間と購入情報を記録することで機能する仕組みになっています。カードタイプのSuicaとその他の相互利用可能な交通系ICカード(PASMO含む)では、駅(改札外・ホーム上)の券売機でグリーン券情報を記録することができます。モバイルSuicaやApple PayのSuicaでは、Suicaアプリを使ってグリーン券を購入することが可能です。カードリーダーへのタッチはカードタイプもモバイル端末タイプも同様です。
しかし、モバイルPASMO(Apple PayのPASMO含む)では上記の方法は使うことができません。まずモバイルPASMOはカードタイプではないため、駅の券売機でモバイルPASMOにグリーン券情報を記録することはできません。またPASMOは首都圏を中心としたJR東日本以外の鉄道・バス会社が主体となって運営するサービスのため、モバイルPASMOのアプリからグリーン券の購入を行うこともできません。つまり、モバイルPASMOではグリーン車Suicaシステムを利用することができません。
モバイルPASMOでグリーン車を利用する方法
モバイルPASMOを利用する場合、JR東日本の普通列車グリーン車に乗るには磁気グリーン券を購入する必要があります。
磁気グリーン券は、改札外の券売機で購入することができます。普通列車の乗車券(いわゆる「きっぷ」)が購入できる、緑色や黒色の券売機です。指定席券売機やホーム上の券売機では購入できません。以下のページでいう「自動券売機」と「多機能券売機」です。
券売機では、左のメニューから「グリーン券」を選択し、その後の画面で「磁気グリーン券」を選択します。
その後、降りる駅を路線、駅名の順に選択し、現金を投入することで磁気グリーン券が出てきます。支払いにクレジットカードは利用できません。
駅の自動改札は通常通りモバイルPASMOで通過します。磁気グリーン券は通常のきっぷと同じような見た目ですが自動改札では使えません(そもそも通す必要がありません)。
乗りたい列車のグリーン車に乗車し、座席上部のランプが赤色に点灯している座席に座ります。Suicaのタッチは行わないのでこの時点では赤色が点灯したままです。モバイルPASMO端末をタッチしないように注意してください。
駅を発車したタイミングでグリーンアテンダントが車内を巡回し、車内改札を行います(駅間の走行時間の関係で毎駅ではないようです)。この際にSuicaをタッチする、磁気グリーン券を見せる、グリーン券を車内で購入する、のいずれかを求められるので、グリーンアテンダントに購入した磁気グリーン券を確認してもらいます。その場でアテンダントが情報を入力し、座席上部のランプが緑色になったら全ての手続きが完了です。あとは目的地までゆっくり過ごすだけです。
乗車駅以外では券売機で買えないことに注意
注意が必要な点として、まず改札に入ってから磁気グリーン券を購入することはできません。ホーム上にある券売機はカードタイプのSuicaやその他の交通系ICカードを利用して購入・記録することしかできません。
また、購入する駅がグリーン車の乗車駅となるグリーン券しか購入することができないため、途中の乗り換え駅からグリーン車に乗車したい場合は、一度改札を出て券売機で購入するか、最初の乗車駅のみどりの窓口で区間を指定して購入する必要があります。いずれもグリーン車Suicaシステムを使ったグリーン券の購入より時間や手間がかかるため、時間に余裕を持って行動する必要があります。
というわけで今回は、モバイルPASMOを使ってJR東日本の普通列車グリーン車に乗る方法と注意点を紹介しました。色々と面倒なことがあるのでモバイルSuicaにしたいのですが、通勤区間が私鉄駅同士の発着なのでSuica定期券が発行できないんですよね。次引っ越すときはJR東日本の最寄り駅にしたいです。
それではまた。