こんにちは。
先日セカオワことSEKAI NO OWARIが開催している全国4大ドームツアー「Du Gara Di Du(ドゥガラディドゥ)」の東京ドーム公演に参戦してきました。10周年ドームツアーのリベンジとなった今回のツアーは、社会問題や人間の本質をファンタジーで描いてきたセカオワらしさの詰まったライブでした。セットリストや写真で振り返りたいと思います。
こんにちは。
先日セカオワことSEKAI NO OWARIが開催している全国4大ドームツアー「Du Gara Di Du(ドゥガラディドゥ)」の東京ドーム公演に参戦してきました。10周年ドームツアーのリベンジとなった今回のツアーは、社会問題や人間の本質をファンタジーで描いてきたセカオワらしさの詰まったライブでした。セットリストや写真で振り返りたいと思います。
SEKAI NO OWARIは2010年にインディーズデビューしてから10周年となる2020年に、全国4大ドームツアーを開催する予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって安全な実施が困難となり、公演約3ヶ月前に全公演の中止が発表されました。このツアーの名前は今回のツアーと同じ「Du Gara Di Du」で、ツアービジュアルやグッズがいくつか公開されたのみでどのようなライブだったのかはもう知ることのできない、幻の10周年ツアーとなりました。
その後、社会の新型コロナウイルスとの向き合い方も変わってきたことで、各種イベントが開催できるようになりました。セカオワは2021年11月から、2011年のメジャーデビューから10周年という形で改めて10周年記念ツアー「BLUE PLANET ORCHESTRA」を開催し、私も代々木公演に参戦しました。感想や写真は以下の記事をご覧ください。
宇宙で行われるクラシックコンサートをコンセプトに、メンバーは宇宙服姿で曲を演奏していきます。幻となった2020年の「Du Gara Di Du」もロゴやグッズには宇宙服が描かれており、コンセプトは引き継がれた可能性があります。「Du Gara Di Du」用にあった宇宙のコンセプトに、Saoriの持っていたクラシックコンサートのアイデアが足された形での演出だったのかもしれません。
このツアーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたエンターテイメント業界を支援するJ-LODlive2(令和2年度コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金)の支援を受けて開催されました。公演の開催とその様子を海外に配信することを条件に費用の半分が補助されるもので、公演の様子はYouTubeで公開されています(外部サイトへの埋め込みが許可されていない動画のため、YouTubeでご覧ください)。
このツアー、素晴らしいことに変わりはないのですが、10周年のリベンジという点ではファンとして物足りなさを感じてしまうライブでした。もちろん予定されていたドームツアーと比べて会場の規模が狭いこと、ベストアルバムの発売延期を含め補助金では到底カバーできない損失を受けている中での開催であったことを考えれば、そもそも理想が高すぎるのだとは思います。しかし、淡々と曲を演奏し曲間の演出もアニメーションのみとなると、派手な演出を期待するファンとしてはどうしてもクオリティ不足を感じてしまったのです。
「BLUE PLANET ORCHESTRA」は2022年3月末まで行われましたが、なんとツアー中の2月に全国ドームツアーの開催が発表されます。
SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2022の開催が決定!
— SEKAI NO OWARI OFC (@SekaiNoOwariOFC) February 20, 2022
2022年8月14日のバンテリンドーム ナゴヤを皮切りに全国4カ所・5公演。
ファンクラブ会員最速チケット先行受付開始!
開催日程などはツアー特設サイトをご確認ください。
SEKAI NO OWARI DOME TOUR 2022 特設サイトhttps://t.co/H4th0lAp6C
そのツアー名は2020年開催予定も中止となったドームツアーと同じ「Du Gara Di Du」でした。完全にこちらがリベンジツアーですね。前のツアーが終わってからわずか半年での開始となり、今度こそやってくれるはずと期待でいっぱいになったのを覚えています。
今回のツアーですが、福岡ドーム(福岡PayPayドーム)と東京ドームでの開催がセカオワにとって初めてのこととなります。特に東京ドームに関しては、何度もやろうやろうと話は進んだものの、スケジュールや先述の中止によって開催が叶わぬものとなっていました。
公式サイトのメッセージやライブのMCでも語られましたが、東京ドームでの開催は2014年の時点で話には出ていたそうです。セカオワは2015年に日産スタジアムで「Twilight City」という大規模ライブを行いましたが、これは当初東京ドームで行われる予定でした。2017年に行われたドームツアー「タルカス(Tarkus)」でも、関東に関してはさいたまスーパーアリーナでの開催となり、どちらもスケジュールの都合で叶わなかったそうです。そしていよいよ初の東京ドームでの開催となるはずだった2020年のツアーが中止となり、そこから2年越し、初めて話題に出てからは8年越しでの東京ドーム開催となりました。
ドームツアーが発表されたときは「まだ人気あるんだ」「ドームを埋められるのか」といったネットの声を紹介するいわゆる釣り記事が出たりもしましたが、Habitの大バズリも後押ししたか最上階席までびっしりでした。そんな念願の東京ドーム公演2日目の様子を紹介したいと思います。
今回の「Du Gara Di Du」ですが、宇宙服が描かれていた2020年のものとはコンセプトが全く異なっています。舞台は100年後、2122年の遊園地。100年前、つまり2022年の世界がどんな世界だったのか、音楽やアトラクションを通じて体感できる遊園地になっています。
スタッフの服装や座席のブロック名など世界観作りにもこだわりを見せるセカオワですが、今回面白かったのは感染症対策でマスク着用を求めるアナウンスです。ライブ会場は2122年の遊園地という設定であるため、「当時の時代背景をよりリアルに体感いただくため、常時マスクの着用をお願いいたします」のようにアナウンスしていました。どうしても形式的になりがちな感染症対策のアナウンスですが、こういった工夫を見せてくれるのも楽しいですよね。ちなみに会場のことは「パーク」と呼んでおり、「パーク内動画撮影禁止」のように注意事項も表現が統一されていました。こだわりですね。
本編の演出は2017年の「タルカス」を思わせるものでした。ガルルとグルルという2匹のキャラクターが語りや会話を入れながらストーリーを進行させ、本編中のメンバーMCはありません。セカオワは特にFukaseからたびたびディズニーランドを意識させる発言が出ていますが、まさにディズニーランドのショーを思わせる演出です。
ちなみにガルルの声優を山寺宏一が担当していたこともディズニー感を高めていたと思います。セカオワは2010年の日本武道館公演から山寺宏一を起用しており、強いこだわりが感じられます。
「今ではこうなっているけど、100年前はこんな世界だった、信じられるかい?」という形で「信じられない過去の話」として2022年の今が描かれます。言論の自由があった2022年、プラスチック製品で溢れていた2022年、恋愛といえば男女のものだった2022年、人々が休みなく働き続けていた2022年などと、100年後の未来から見た過去という形で現在進行系の様々な社会問題が描かれました。そのストーリーを彩る楽曲の数々。社会問題を風刺するストーリーを使って過去に聞いていた曲に新たな意味や見方を与えてくれるという点では、今回のライブはタルカスに近い演出だったと思います。実にセカオワらしさの詰まった演出でした。
というわけでそういった演出を彩る楽曲として何が演奏されたのか、紹介していきます。
「天使と悪魔」「illusion」といった古い曲から「Witch」「Eve」といった新しい曲まで、セカオワがそのときそのときに作ってきた別々の楽曲が一貫性のあるメッセージを持って訴えかけてきます。表現方法は変わったなと思うことはあっても、人間の本質や社会問題へのメッセージというその根底にあるものは何も変わっていないというか、メンバー自身が歳を重ね人生の大きなイベントを通過したことでより深みが出ていると感じます。それを毎回違うファンタジーな世界観で表現しているにすぎないのです。
ちなみに過去のセットリストはこのページでまとめているのでよければご覧ください。
セカオワのライブの魅力の1つですが、写真撮影が可能です。ここからは写真でライブの様子を振り返っていきたいと思います。
今回はテーマが遊園地ということで、ステージセットも豪華なものでした。とはいえドームなので2017年に富士急ハイランドで行われた「INSOMNIA TRAIN」のものよりは小さかったのかなと思いますが、メリーゴーラウンドやジェットコースターといったカラフルなアトラクションを見ることができます。今回はアリーナ席の右前のほうの座席だったため、これ以降もこの角度の写真になります。
Fukaseいわく「SEKAI NO OWARIは遊園地を作りそうだから作らなかった」「今回は遊園地第1弾」とのことで、天邪鬼セカオワは続いているなと安心する一方、次なる遊園地が早くも楽しみです。
2122年では見ることがなくなったプラスチック製品について解説するガルルとグルルです。「周波数」に出てくる「奇抜な色の虎」なのかなと思いますが、立ち振る舞いは完全にミッキーとミニーでした。というかガルルは山寺宏一の印象が強すぎて、山寺宏一とミニーという感じですかね。
久々の演奏となった「ファンタジー」でのFukaseとNakajinです。BメロのNakajinパートはFukaseもハモりながら歌いますが、必ず同じ場所にいて歌いますよね。
今回のステージセットですが、約1万5000個の電球が使われているそうです。2013年の「炎と森のカーニバル」の開催に5億円かかったという話のときと同じで通常どのくらい使うものなのかが分からないので具体的な数についてはふーんという感想なのですが、純粋に様々な色を見せてくれて綺麗でした。ちなみにこれは「虹色の戦争」のときの写真で、メンバーはフロートに乗っているためステージにはいません。
「虹色の戦争」と「周波数」の2曲はガルルのフロート上で演奏されました。フロートはアリーナ席の周囲を大きく回るように移動しました。広い会場で遠くの人にも楽しんでもらえるようにという「Twilight City」のときと同じ演出ですね。私はアリーナ席のかなり端のほうの席だったので、かなり近くで見ることができました。
「Twilight City」のときはFukaseとNakajinのみフロートで移動したため、SaoriとDJ LOVEを近くで見ることはできませんでしたが、今回はメンバー全員がフロートに乗っていました。終演後にフロートで回ってきてくれたことはありましたが、演奏を間近で見たのは初めてです。
もちろんFukaseも間近で見れました。Fukaseは女性ファンが多いように思いますが、1枚目なんか見るとそれも納得の可愛さです。
フロートにはガルルとグルルも乗っていました。キャラクターデザインが不気味なのでグッズのぬいぐるみを抱えている人を見ると正直怖かったのですが、こう見ると可愛いですね。
「INSOMNIA TRAIN」でFukaseのダンスとともに披露された「ラフレシア」ですが、今回はなんとNakajinもダンスを見せてくれました。ダンサーが2チームに分かれ、Nakajinはギターを持ったままのダンスです。かつてはDJ LOVEがライブで色々特殊なことをやるポジションでしたが、DJ LOVE以外のメンバーも色々見せてくれるようになって嬉しいです。エンターテイメント集団ですね。
今年の4月末に公開されたYouTubeのミュージックビデオの再生回数がまもなく1億回を迎えようという「Habit」ですが、このタイミングのライブで披露しないはずがありません。アンコール1曲目での披露となりました。独特なダンスの振り付けを担当したパワーパフボーイズとバックダンサーも加わり、大サビではFukaseも一緒に踊って恒例の決めポーズ。この様子が映像作品に残るというのは面白いですね(収録日でした)。
ちなみにパワーパフボーイズはフロートを先導する形でも登場していました。TikTokなどでバズったのは独特なダンスによるところもありますので、パワーパフボーイズ様々ですね。
アンコール2曲目、「Dragon Night」を披露してライブは終演となりました。スタッフロールが流れる間、メンバーはステージ上の複数箇所(主に中央、左、右の3箇所)を回ってそれぞれでファンに向かってお辞儀をします。その姿を収めることができました。
今回のライブでは古い曲から初披露の曲まで幅広く演奏されましたが、初披露の中で最も良かったのが「umbrella」でした。この曲は今までのセカオワに無い感じの曲で、最初は同時リリースの「Dropout」のほうが気に入っていたのですが、聞けば聞くほど良さに気づいていった曲でライブで聞けるのを楽しみにしていました。
この曲はライブで化けますね。男女の恋愛が当たり前だった頃のラブソングという流れで演奏された曲の中の1つでしたが、生演奏の迫力だけでなく音源以上に感情の込もった歌・演奏でした。Fukaseは涙を流していたかもしれません。ギターが激しく鳴り響く間奏の照明演出とその後のFukaseの優しく儚い歌声、ピアノのアウトロ・・・、鳥肌が立ちました。毎回ライブに行くと一番良かったなと思う曲を決めているのですが、今回は間違いなく「umbrella」でした。またやってほしいです。
ここからはライブを見た後そのテーマについて個人的に思っていることを書こうと思います。セカオワ自身の考えとは全く関係ないものですので悪しからず。
近年、多様性の尊重ということで様々な活動や法改正が行われています。夫婦別姓の議論や同性同士のパートナー制度なんかがその一例です。「多数派ではない」という理由で生きづらかった人たちが生きやすい世の中に変わっていくというのは良いことだと思います。不自由だった人々が自由を獲得していくという方向です。
一方で、技術の進歩や必死の活動で手に入れてきた自由を捨ててあえて不自由にしていくような動きも起きています。環境への影響を考えたレジ袋の有料化やプラスチックストローの紙ストロー化、フェイクニュース(真実と信じる人もいるもの)の拡散や誹謗中傷を防ぐための大手SNSプラットフォーム内での発信内容への規制強化などです。獲得してきた自由を捨ててあえて不自由にする方向です。
セカオワは今回100年後の未来から100年前を見るという形で2022年の今を描きました。それと対比する形の2122年は、言論の自由は無くなり、プラスチック製品は過去のものとなり海の底へ沈み、恋愛は男女がするものだったと学校で教えられる、そんな世界をセカオワは想像していました。決して2022年の今の問題がこのような形に変化していくと決まったわけではありませんし、そうなってほしいと思っているわけではないとセカオワも念を押していましたが、何らかの被害を受ける人々(それが少数派であっても)を助ける方向、地球を守るためにあえて不便を選ぶ方向というのは変わらないのかなと思います。
SNSの普及で少数派の人を含め誰でも自由に発信できる環境を手に入れたにもかかわらず、刺激的なものや陰謀論のような真偽不明のものが制限されていくのは何とも皮肉なものです。動物愛護の観点から売買のために生まれるペットや動物園・水族館の動物たちの不自由を解消させていくのは良いことですが、それによってペットショップや動物園で癒やしを得ることができなくなるのは寂しいものです。ある範囲(多数・少数にかかわらず)の人々・生き物が自由を得るために、それまでに獲得してきた自由や楽しみを捨てるというのはどうしても必要なことで、自由と不自由は簡単に対比できるものではないんだなと感じます。
賛否両論のある問題は世界レベルでも日本という国のレベルでも会社や友達同士といった狭い範囲でも存在すると思いますが、何かを規制する方向でも何かを緩和する方向でも、結局は誰かから見れば自由になるし誰かから見れば不自由になる、妥協が必ず発生してしまうのだなということを感じました。ライブ中の写真撮影に関して、最初は動画も自由に撮影できたものが結局写真のみに制限される、これも動画を撮りたい人からすれば不自由ですが、その後ろにいる人たちからすれば不便の解消になるわけで、ルールって全部そんなものだなと思ったわけです。
書いていて自分が何を言いたいか分からなくなってきてしまったのでこのあたりで終わりにします。こんなことを考えさせてくれるライブ演出でした。
というわけで今回は、SEKAI NO OWARIの初の東京ドーム公演「Du Gara Di Du」の振り返りでした。短いスパンでツアーが続いたので次は少し間が空くかもしれませんが、ライブを思い出しながら過ごしたいと思います。
それではまた。