2022年のF1に期待すること

こんにちは。

チャンピオンを争う2人が最終戦を同点で迎え、劇的な結末となった2021年シーズン終了から約2ヶ月が経ちましたが、未だに昨日のように思い出します。結果レッドブルのマックス・フェルスタッペンがワールドチャンピオンに輝きましたが、早くももうあと1ヶ月で2022年シーズンの開幕となります。車体のルールが大きく変わり、本格的な予算制限が始まる2022年シーズンですが、今回はファンとして2022年のF1にどういったことに期待しているのかを書いていきたいと思います。

フェルスタッペンのタイトル防衛

2021年最終戦の最終局面は、レース運営側がチャンピオン争いに介入したのではないかと物議を醸しました。ハミルトン引退説まで出すことになったこの問題は、FIAレースディレクターであるマイケル・マシの去就を含め、未だに尾を引いています。

そんな最終戦、そして劇的なシーズンを制したのはレッドブルのマックス・フェルスタッペンでした。17歳という若さでF1デビューを果たし未だに24歳なことに驚かされますが、デビュー当初と比べて精神的な成熟が見られる一方で強引なドライビングはあまり変わっていません。この点は(少なくともバトルにおいては)クリーンなハミルトンと対照的で、チャンピオン争いを面白くしてくれました。

とはいえ、私は現役最強ドライバーはやはりルイス・ハミルトンであると考えています。もちろんフェルスタッペンがチャンピオンにふさわしくなかったと言っているわけではありません。パワーユニットを失ったり不運の多かったフェルスタッペンがチャンピオンを獲得できたのは、様々な面でハミルトンを上回っていたからだと思います。また、ハミルトンは良いマシンに乗っているからチャンピオンを何度も取れるとか、ハミルトンは運が良いだけだという話もあると思いますが、マシンやチームの力量が順位に大きく影響してくるF1においてはそういったキャリアの作り方や運も含めて実力だと考えており、純粋な実力に加えて全てにおいて優れたドライバーだと考えています。

そんなドライバーをときに強引にねじ伏せワールドチャンピオンに輝いたフェルスタッペンが、本当に優れたドライバーであると証明できる一番のチャンスが、今年2022年シーズンだと思います。フェルスタッペンのファンとして、マシンのレギュレーションが大きく変わるなかでレッドブルが良い車体を作り、ライバルを抑えて再びワールドチャンピオンを獲得することに期待しています。

多様な戦略と接近戦

近年のF1は、給油廃止やタイヤ寿命の長期化によって1ストップ戦略が基本になっています。長いレースの3分の1程度のところでタイヤを交換し最後まで走り切るという展開が多い一方で、コース上での接近戦はマシン後方の乱流の影響で難しくなっています。コース上の追い抜きが発生しやすくなるようにDRSも導入されてはいますが、マシン差があれば難易度の低いオーバーテイクになり、マシン差が無ければDRSトレインとなって膠着状態になってしまうといった感じで、正直見たいバトルが見れているとは思っていません

レース戦略については、スペインGPのハミルトンやフランスGPのフェルスタッペンといった、積極的な戦略変更によるピットストップで相手を追い上げパスするという展開はなかなかアツいものでした。一方で、ドライバーの腕によるバトルも見たいものです。コース上の追い抜きが難しくピットレーンの制限速度も引き下げられ、トラックポジション重視の1ストップ作戦が基本になるのは理解できます。接近戦をしやすくなるようにしたという2022年のマシンが本当に接近戦に強いものであるなら、このあたりの戦略も変わってくるでしょうか(守るほうも守りやすくなって結果後方からの追い上げが難しくなる展開もありそうですが)。

ハンガリーGPでアロンソが見せたハミルトンに対するディフェンスは、非常にベテランらしい素晴らしいものでした。マシンではアルピーヌはメルセデスに遅れを取っているわけですが、それでも10周以上ハミルトンを抑えられたのは(抜きにくいコース特性はありつつも)ドライバーの腕が表れたということです。接近戦が得意なマシン特性がプラスの方向に働きこういったバトルを増やしてくれることを願うばかりです。

安全なレース

2017年レギュレーション変更以降のF1マシンは史上最速のものになっています。速いマシンでレースができるということはそれだけ安全性が高いということであり、大きなクラッシュも何度かあったものの大事には至っていないことがそれを証明しています。一方で、2021年シーズンも危険なクラッシュや一歩間違えば大惨事に繋がるような状況が何度も見られました。

安全に対して不安を感じたことをすぐに思い出すのはサウジアラビアGPです。2021年に初開催となったジェッダのコースですが、常設サーキットのようなレイアウトながら市街地コースということになっています。常設サーキットの中でもかなり高速な部類のサーキットである一方で、市街地コース並みにウォールが近いのが特徴です。もちろんランオフエリア自体は確保されていますが、ドライバーはどちらかというと視界の悪さを指摘していました。高速のブラインドコーナーがあまりにも多いからです。公式メディア側は「史上最速の市街地コース」のように盛り上げていましたが、正直何かが起きてしまうのではないかとレース終了までドキドキでした。実際マゼピンが前方のクラッシュを視認できず前車に潜り込みかけるクラッシュがレース中に発生しており、2020年のムジェロでのトスカーナGPを思い出す危険さだなと思いました。

アゼルバイジャンGPでのストロールとフェルスタッペンのタイヤバーストによるクラッシュも衝撃的でした。バクーもかなり高速な市街地コースで危険だと思っていましたが、クラッシュ後の対応は正直悪かったかなと思います。タイヤそのものが原因だったと絶対に認めないピレリの姿勢も受け入れがたいです(本当にそうなのかもしれませんが)。またエミリア・ロマーニャGPでは、ネットワークのトラブルで無線やタイミングモニターが機能しない状態でフリー走行が行われました。大量のデータや無線通信によって成り立っている現代のF1でそれらが機能しない状態で走行を行うのは危険ですが、開催は強行されました。実際それが遠因となりペレスとオコンが接触してしまったものの、オンボード映像がリアルタイムで取得できないという一歩間違えば危険な状態でした。

最近のF1は以前と比べてVSCや赤旗の判断は早くなったとは思うものの、危険な状態でもセッションを続けようとしたり、危険であることを売りにするような風潮があるように思います。もちろん危険でスリルがあるからこそF1が面白いのはその通りですが、どんどん速くなっていくマシンに対しマシンの安全性に甘えていてはいつ危険な事故が起こってもおかしくないと思います。2022年シーズンはマシンの特性も変わり接近戦もしやすくなると言われているなか、事前の予想よりマシンは速くなるようなので、安全に対する意識も改めて高めてほしいと思っています。

角田裕毅の活躍

デビュー戦から好成績を残した角田裕毅は2年目のシーズンになります。中盤戦は不用意なミスで下位に沈むことが多かったものの、契約更新後の終盤は次のシーズンを楽しみにさせてくれる走りでした。トルコGPではハミルトンに対して素晴らしいディフェンスを見せました。結果に表れてこない良い走りがあったと思うので、そういった走りを結果に結びつけていくことが今後の課題かなと思います。様々な面でガスリーにはまだまだ及んでいませんが、最終戦で見せたパフォーマンスを2022年シーズンも最初から見せてほしいですね。

チームから一定の評価は受けているとはいえ、交代できるドライバーがいればすぐにシート喪失に繋がるポジションからは抜けられていないと思います。2022年シーズンを猶予の1年と考えて、チームに貢献することを第一にアグレッシブな走りを見せてほしいものです(サンパウロGPの対ストロールのオーバーテイクでペナルティを受けてしまうような環境ではありますが・・・)。日本のファンを熱くしてくれた小林可夢偉以上の活躍に期待します。

日本GPの開催

新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限により、鈴鹿サーキットでの日本GPは2年連続で開催することができませんでした。2021年の開催中止については東京オリンピック以上の様々な対策・準備がされていたにもかかわらず国からの返答が無かったということで、F1側からの信用も少なからず失ってしまったと思います。ホンダも2021年限りで表舞台からは撤退してしまい、ラストイヤーの勇姿を日本で見ることができなかったのは非常に残念でした。

2022年も日本GPが有観客開催ができる確証は未だ持てませんが、もし開催されればぜひ現地観戦したいと思っています。先日バーレーンGPの2036年までの長期契約が発表されましたが、アメリカや中東地域での開催増加によって日本での開催が押し出されることがないよう、日本のF1を盛り上げていきたいですね。私個人としては2018年以来の現地観戦になりますが、今から準備しておきたいです。


というわけで今回は、2022年シーズンのF1に期待することを書きました。接近戦の増加、勢力図の変化、さらにレースが面白くなってくれることに期待ですね。2022年シーズンは3月18日にバーレーンで開幕します。

それではまた。

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