こんにちは。
最近、近所のイトーヨーカドーに「IYマイレジ」というスマホレジのシステムとセルフレジが導入されました。何度か使いながら周囲の客の様子も見てみて、良いところと悪いところが見えてきたので紹介します。
こんにちは。
最近、近所のイトーヨーカドーに「IYマイレジ」というスマホレジのシステムとセルフレジが導入されました。何度か使いながら周囲の客の様子も見てみて、良いところと悪いところが見えてきたので紹介します。
スーパーのレジは概ね以下のように分類できると思います(呼び名は私の適当な命名です)。
下に行くほど店員や店側の設備を使う時間や機会が減っていっています。お店の広さや扱う商品、客層によって向き不向きは変わってくると思うので一概には言えませんが、個人的には店員の読み取りの早さと支払いの楽さを兼ね備えた支払いセルフレジ方式が一番好きです。
(ちなみに決済までスマホ上で行うものを「スマホレジ」と呼ぶのが一般的なようですが、ここでは商品の読み取りまでをスマホで行いセルフレジの機械で会計を行うものも「スマホレジ」と呼ぶことにしています)
最近、近所のイトーヨーカドーのレジエリアがリニューアルされました。元々は有人レジがずらりと並んでいる形で、一部が現金を含め全ての支払い方法が使える有人レジ、残りがクレジットカードやバーコード決済などのキャッシュレス支払い専用の有人レジでした。人の流れを見る限り大きな問題は無く、たまに現金しか持たない人がキャッシュレス専用レジに並んでしまい会計がやり直しになっているのを見る程度です。一方で最も混む時間帯では支払いに手間取ることで列全体の流れが悪くなることもあり、商品の読み取りと会計を別の店員が担当する1列2店員態勢になっていることもありました。
リニューアルによってセルフレジが導入され、有人レジは半減、残りのスペースがセルフレジエリアに充てられました。セルフレジはコンビニに置いてあるようなものと同じで、その場で自分で商品のバーコードを読み取り、キャッシュレスで支払って終了というものですが、今回さらにその一部でスマホレジが導入されました。レジエリアがリニューアルされて全体としてどうなったかという話は後にして、まずはスマホレジのシステムを紹介します。
今回のリニューアルで導入されたのが、イトーヨーカドーのスマホレジ「IYマイレジ」です。
簡単に言うと、客が自分のスマホのイトーヨーカドーアプリで商品のバーコードを読み取り、セルフレジでは支払いのみを行うことでレジ待ちを無くせるというシステムです。レジでの商品の読み取りは時間がかかるため、買う商品が少ない人でも他の人のレジ待ちによって時間がかかってしまう場合があります。レジエリアに来る前に商品の読み取りを済ませておくことで、レジの人の流れをスムーズにすることができます。
入店したらスマホホルダーとQRコードの付いたカートを探し、イトーヨーカドーアプリでQRコードを読み取ったうえでスマホホルダーに自分のスマホを固定します。あとは各商品のバーコード(野菜や果物など商品にバーコードが無い場合は売り場側にバーコードがあります)を読み取っていくとアプリ内のカートに商品が追加されていきます。全ての商品を読み取り終わったらIYマイレジ対応のセルフレジに行き、アプリの会計ボタンを押して表示される会計バーコードを読み取って支払いをすれば完了です。セルフレジエリアから出るには会計後のレシートのバーコードを出口のゲートに読み取らせる必要があります。
何度か使ってみて感じたスマホレジの良いところを紹介します。
セルフレジの難点として、商品を自分で読み取るのに時間がかかるというものがあります。レジの店員はかなり手際よく商品を読み取っていきますが、素人にはなかなかそのスピード感は出せません。特にスーパーではカゴがいっぱいになるまで買うことも多いため、それを自分でやっていては大変です。
スマホレジは商品を手に取ってカートに入れる段階で読み込んでしまうため、どんなに商品の数が多くてもレジでかかる時間は増えません。実際慣れればレジエリアに入ってから15秒ほどで会計を済ませることができます。
スマホで商品を読み取っていくと、その時点での合計金額が表示されます。レジで会計するタイミングになって思ったより高いことに気づくのは買い物あるあるだと思いますが、商品を読み取るたびに増えていく合計金額を見て、買いすぎないようにしよう、余計なものを買わないようにしようという気持ちになります。節約には向いているかもしれません。
これは自分だけかもしれませんが、商品のバーコードを読み取る作業が結構楽しいです。商品を手に取り、バーコードはどこかなと探し、自分のスマホで読み取る、この一連の作業が楽しいです。これを仕事にしたら絶対楽しくないとは思いますが。
一方でスマホレジを使ってみてこれは・・・と感じてしまうところももちろんありました。というかこちらのほうが根深いかもしれません。
スマホのカメラの前に商品のバーコードを持っていき読み取りエリアにかざすのはなかなかスムーズにはいかず、歩きながらのバーコード読み取りは難しいです。そのため必ず立ち止まって読み取ることになり、人の多いエリアでは正直周囲の客の邪魔になります。レジエリアの人の滞留を売り場全体に分散したというだけで、入店から会計までの全体の所要時間は変わっていないどころか、読み取りの遅さでむしろ長くなっているような気がします。
気分良く買い物を進めていてふと、この商品読み取ったっけ、と不安になります。その場合アプリのカートと自分のカートのカゴを見比べてきちんと全て読み取りができているかを確認することになり、これもまた周囲の人の迷惑になります。手に取った商品は必ずバーコードを読み取ってからカゴに入れることを意識しながら買い物しなければなりません。
売っている商品を見ながら献立を考えるような人の場合、買おうか迷って結局買わない、1回カートに入れたけどやっぱり買うのをやめる、といったことは結構あると思いますが、その際にカゴの中身とアプリのカートの中身を常に一致させておく必要があるのは結構ストレスだと思います。
スマホレジだから当たり前ではあるんですが、自分のスマホを使わないといけないというのもデメリットになります。画面は基本つけっぱなしでカメラを長時間使うことになるので充電は減りますし、イトーヨーカドーアプリの画面を開いているので別のアプリにメモしていた買うものリストを同時に見ることができません。カートを押しながらのスマホ操作は道端のながらスマホと同様に危険なので、店内で立ち止まることが普通より増えます。
カート備え付けのスマホホルダーもなかなかに貧弱で、様々な横幅のスマホに対応はしているもののバネの伸縮性がいまいちなのか開閉が固く、スマホを留めていると勝手に音量ボタンが押されて音量が最大になってしまうようなことが何度もありました。一方会計までスマホをスマホホルダーに留めたまま行えるので、最後にスマホを外し忘れて置いて帰ってしまう危険もあります。
ここからは、レジエリアをリニューアルしてセルフレジとスマホレジを導入したことで、全体の流れがどう変わったか、効果はあったかを書いていきます。
正直なところ、現段階では全体の流れは悪くなったと思っています。
有人レジが大きく減ったことで、長蛇の列ができるようになりました。というのも、セルフレジがあまり使われていないからです。私が通っているイトーヨーカドーに買い物に来る客層は、カゴいっぱいに買うためにセルフレジの時短効果が薄い親世代か、年配でキャッシュレス支払いを使わない、もしくは機械の操作に慣れていない人が多いように見えます。先に書いたように、有人レジは並ぶとはいっても店員の商品の読み取りスピードはかなりのもので、自分でセルフレジで読み取るより並んだほうが早いことも多いと思います。柔らかい商品が潰れないような詰め方の配慮も素人では敵いません。
セルフレジ側に店員が立ってセルフレジを使うよう誘導の声がけをしていましたが、社会全体としてセルフレジが普及してきているなかであえて有人レジを選んでいる人の列からはなかなかその誘導に乗る人はいないと思います。
スマホレジは全然使われていません。導入から少し経ってから行ってみたところ、スマホホルダー付きのカートはカート置き場から追い出されて壁際に置かれていました。別にスマホレジを使わない人でもただのカートとして使うことはできるのですが、よっぽど客に避けられてしまったんでしょうか。スマホレジが浸透していないことを表す象徴的な光景でした。
私はスマホレジを使っていますが、周りに使っている人がいないのでちょっと恥ずかしいです。セルフレジはガラガラなおかげで会計は非常にスムーズに済むので得をしています。
コンビニと比べて買う量はどうしても多いので、1人がセルフレジを占有している時間は長めかなと思います。基本的に有人レジよりは空いているので特に問題にはなりませんが、混んでいる時間帯はセルフレジでも待ち列ができます。
セルフレジの待ち列はエリアに対して1列で、空いたところから入っていく方式なので、並列で待ち列を作っている有人レジでよくあるような、商品の多さや会計の手際の悪さにより特定の列だけ進みが遅いといった問題は起きません。周りの列の進みを見てイライラするタイプの人はセルフレジが向いていると思います。
これは個人的に嬉しかったことですが、レジのシステムが刷新されたことでクレジットカードのタッチ決済に対応しました。これまでは読み取り機に差し込む必要があったため、これもかなりの時短になっています。
IYマイレジは既に多くのイトーヨーカドー店舗で導入されているようで、そこまで導入を進めているのは客の流れが悪くなるデメリットを大きく上回るコスト的なメリットがあるのか、私の近所の店舗が特殊なのでしょうか。イトーヨーカドーは経営難でどんどん店舗を減らしており、人件費削減やデジタル化は急務なのかもしれません。
レジエリアをリニューアルして以降の人の流れを見て、もっとこうすれば全体的に最適化されるのではないかというのを、利用者目線で勝手に書いてみます。
まず、有人レジの台数はもう少し増やしたほうがいいかなと思います。あえて不便にすることでセルフレジに誘導する意図があるのであれば少ないほうがいいですが、有人レジとセルフレジの選ばれる割合の通りに設置するつもりなのだとしたら少なすぎると思いました。買うものが多いので商品の読み取りは任せたい、現金で払いたいという属性の客層が思ったより多かったという感じだと思います。
もしくは、支払いセルフレジ方式にして、完全セルフレジのほうはスマホレジの利用を必須にするのもありだと思います。商品の読み取りとレジを分離すれば支払いに手間取る人がいても読み取り側の進みが遅くなることはありません。商品の読み取りは任せたいがキャッシュレスで支払いたいという人にとって現金派の人が支障になることも減ると思います。アプリの使い勝手自体はそこまで悪くないので、キャッシュレスやデジタル化への感度が高い人であれば、一度スマホレジを使ってみたらそのままスマホレジを使い続けてくれると思います。
最後に、こういったお店側が客側にデジタル化への適応を求めることについて考えていることを書こうと思います。
セルフレジが導入されると、デジタル化は困る、操作が分からない、店員がいてくれないと困る、といった声が特に高い年代から一定数出てきます。もちろんやり方が大きく変わるので最初は何も分からないですし、実際私も初めてスマホレジを使ってみたときはすごく時間がかかりました。ただそれも結局は経験の問題で、すぐに慣れました。
年齢が上がるにしたがって初めてのことに対する適応力も落ちていくとは思いますが、スマホレジは正直スマホを使える人であれば誰も使えると思います。逆に言えば、普段ITエンジニアとして働きデジタル技術への感度が高い20代の私でも、慣れない操作には時間がかかりますし恥をかくこともあります。つまり、セルフレジのようなシステムへの適応は若いからとか年だからといった問題ではなく、初めてのことに挑戦してみようかという気持ちの問題だと思うのです。
もちろん全てをセルフレジにして店員は対応しませんというのは望ましくないと思います。身体的にスマホやタッチパネルの操作が難しい人もいますし、店員とコミュニケーションをとりたい人がいるのも分かります。だからこそ、慣れさえすれば問題なくセルフレジのようなサービスを使える人は積極的に使っていくべきです。それが全体としての最適化に繋がります。お店側の都合によるシステムの変更ではありますが、それに適応できる人はしていくことがお店のためにも社会全体のためにもなり、最終的に自分のためになるのだと思っています。セルフレジを使ってみて用途に合わないときは有人レジを使えばいいのであって、今までずっと有人レジだったからセルフレジができても有人レジに並びます、だと色々もったいないなあと感じます。
というこの話は、ドラッグストアでいつもポイントカードを持ち歩いていないくせにポイントを貯めようとして電話番号と名前で照会して時間がかかり、現金払いのくせに使い勝手の悪そうな財布を使って小銭を出すのに時間がかかり、レジ袋を買わないのに大した袋を持っていなくて買ったものを持ち帰るのに時間がかかり、結局2分ぐらいレジを塞いでいるデジタル後進おばさんへの恨みを社会的意義っぽく言ってみただけです。
というわけで今回は、イトーヨーカドーで導入されたスマホレジ「IYマイレジ」を使ってみた感想と、小売業でのセルフレジ導入の流れについて感じていることを書いてきました。近所のイトーヨーカドーも無くなってしまうんじゃないかと心配ですが、できる効率化はやってもらって(もちろん改善できるところは改善して)、利用客である自分もそれに適応して支えていきたいと思いました。
それではまた。