【F1】ピレリタイヤの種類の変遷をまとめてみた

【F1】ピレリタイヤの種類の変遷をまとめてみた

こんにちは。

F1で使われているタイヤは、コンパウンドの種類によって異なる名称と色が使われています。今日はその名称と色の変遷を、タイヤサプライヤーがピレリになった2011年からまとめてみたいと思います。

2023/02/26追記

タイヤがワンメイクとなった2007年以降のコンパウンド名称や色の変遷を改めてまとめました。以下のページも合わせてご覧ください。

2010年にブリジストンがタイヤサプライヤーから撤退し、2011年からイタリアのピレリが新しいタイヤサプライヤーとなりました。ブリジストンはコンパウンドが固い順にハード・ミディアム・ソフト・スーパーソフトという4種類のタイヤを用意しており、グランプリごとにその中の2種類を持ち込んでいました。そして、その柔らかいほうのタイヤに緑色の帯を付けて区別していました。2011年からタイヤサプライヤーとなったピレリも基本は踏襲していましたが、グランプリに持ち込むタイヤの種類によらず、4種類それぞれに異なる色でマーキングしていました。ピレリはたびたび色を変えたりコンパウンドの種類を増やしたりし、名称や色が覚えづらくなっていきました。

2011年から2019年までのタイヤの名称と色を以下にまとめます。

溝なし溝あり持ち込み数
2011ハードミディアムソフトスーパーソフトインターミディエイトウェット2
2012ハードミディアムソフトスーパーソフトインターミディエイトウェット2
2013ハードミディアムソフトスーパーソフトインターミディエイトウェット2
2014ハードミディアムソフトスーパーソフトインターミディエイトウェット2
2015ハードミディアムソフトスーパーソフトインターミディエイトウェット2
2016ハードミディアムソフトスーパーソフトウルトラソフトインターミディエイトウェット3
2017ハードミディアムソフトスーパーソフトウルトラソフトインターミディエイトウェット3
2018スーパーハードハードミディアムソフトスーパーソフトウルトラソフトハイパーソフトインターミディエイトウェット3
2019C1C2C3C4C5インターミディエイトウェット3

大まかな変更点をまとめます。

2011年

  • 溝なしタイヤはハードはシルバー、ミディアムはホワイト、ソフトはイエロー、スーパーソフトはレッドに
  • 溝ありタイヤはインターミディエイトはブルー、ウェットはオレンジに

2012年

  • イメージに合うようにウェットをブルー、インターミディエイトをグリーンに変更

2013年

  • 見分けにくかったシルバーとホワイトの組み合わせを避けるため、ハードをウェットで使わなくなったオレンジに変更

2016年

  • スーパーソフトより柔らかいウルトラソフトを追加しパープルに
  • グランプリに持ち込む種類を3種類に

2018年

  • ハードをアイスブルーに変更し、ハードより固いスーパーハードを追加しオレンジに
  • ウルトラソフトより柔らかいハイパーソフトを追加しピンクに

2019年

  • 名称の複雑化や色のレインボー化を改めるため、固いほうからC1・C2・C3・C4・C5という名称に変更
  • 観戦者向けに、持ち込んだ3種類を固いほうからホワイトのハード、イエローのミディアム、レッドのソフトと区別するように変更

このような感じで、名称や色がどんどん変化していきました。ハードとミディアムがシルバーとホワイトで日光が当たると見分けられないなどスタートから問題はありましたが、やはり2016年にウルトラソフトが追加されたあたりからどんどんひどくなっていった気がします。挙句の果てにスーパーハードとハイパーソフトまで追加され、ドライタイヤだけで7種類というとんでもないことになってしまいました。しかもグランプリに持ち込まれるのはそのうち3種類だけなので、スーパーソフト・ウルトラソフト・ハイパーソフトなんていう組み合わせもあったり。持ち込まれるタイヤが2種類だったときからあるオプション・プライムという区別を引き続き使い、予選用+オプション+プライムや、オプション+プライム+レース用のような呼び方でチームは区別していたようで、結局名称はただ観戦者を混乱させるだけだったようです。

2018年にウルトラソフトより柔らかいタイヤを導入することになったとき、ピレリは何ソフトタイヤにするべきかTwitterでアンケートを取っていました。スーパーよりウルトラのほうが強いのはネイティブにとっては当たり前のことなのかもしれませんが、ウルトラより強い強調はネイティブでも感覚が分かれるようです。

そのときの選択肢はメガソフト・エクストリームソフト・ハイパーソフトでした。結局ハイパーソフトが選ばれたわけですが、過去にエクストリームウェットと呼ばれるタイヤがあったこともあり、結構票は割れていたようです。我々が欲しいのはミシュランタイヤただ1つだ、なんてリプライもありました。

自分が2018年のタイヤが7種類に増えるときに考えたことは、中央の基準をずらしてしまえばいいのでは?ということでした。つまり、固いほうからスーパーハード・ハード・ミディアム・ソフト・スーパーソフト・ウルトラソフト・ハイパーソフトとなるところを、ウルトラハード・スーパーハード・ハード・ミディアム・ソフト・スーパーソフト・ウルトラソフトにしてしまうということです。こうすれば新しい強調語は作らなくていいですし、ミディアムから見て左右対称になりわかりやすくなります。コンパウンドは毎年微調整されたり1段階ずらされたりしているわけですから、去年のソフトがミディアムという名称と色に変わっても特に混乱はしないと思うのです。今言ってももう遅いですが。

レインボー化の事態を重く見たピレリは、2019年からコンパウンドを5種類を減らし、C1のようなコードネームを付け、中継で使用される名称と区別することにします。持ち込んだ3種類に対してハード・ミディアム・ソフトという分かりやすい名称が使われることになりました。最初からこうしておけば・・・と思わないこともないですが、ピレリの言い分ではFIAからの要望に応えていたらこうなったとのことなので、まあエンターテイメントの犠牲になったということなのでしょう。

再来年から18インチタイヤに変わっても引き続きピレリがタイヤを供給します。ブリジストンと比べて何か気になる点は多いピレリですが、なんだかんだレースに不確実性をもたらしてくれている感じはあるので、市販車用タイヤにフィードバックできることが少ないF1の世界でもこれからも頑張ってほしいですね。

2020年シーズンのタイヤ仕様は去年と変わらず、名称や色の付け方もそのままです。2020年シーズンは7月にオーストリアで開幕します。

それではまた。

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