【F1日本GP】初の仮想待合室システムで分かったこと【チケット争奪戦】

こんにちは。

本日5月14日に鈴鹿サーキット公式のオンラインショップ「モビリティステーション(MOBILITY STATION)」で2023年のF1日本GPのチケット販売が開始されました。昨年はチケット争奪戦が勃発し、繋がっては追い出されリロードし・・・を繰り返す状況になっていました。今年はその対策として「仮想待合室」というシステムの導入が急遽発表され、比較的スムーズに販売が進んだようです。仮想待合室システムとは何だったのか、どういうことが分かったのかを見ていきます。

2023/12/10追記

2024年の日本GPチケットの発売を前に、チケット販売サイトがリニューアルされました。仮想待合室のシステムも変更されているため、2024年日本GP時点での情報は以下の記事をご覧ください。

2022年はチケット争奪戦

昨年2022年のF1日本GPは、新型コロナウイルスによる2年連続中止により3年ぶりの開催となりました。ホンダがパワーユニットを提供するレッドブルでワールドチャンピオンとなったマックス・フェルスタッペンの凱旋、また角田裕毅の初の母国GPなど、日本のファンを現地観戦へと誘う十分な理由が揃い、7月のチケット販売開始直後はチケット争奪戦となりました。

F1日本GPの観戦チケットは多くが鈴鹿サーキットを運営するモビリティランドの公式オンラインショップ「モビリティステーション」で販売されます。毎回このモビリティステーションがアクセス集中による負荷に耐えられず動作が不安定になってしまう問題があるのですが、2022年は特に不安定な状態になっていました。販売開始から数時間はそもそもサイトに繋がらないか、繋がったとしても操作するたびに強制的にログアウトさせられてしまい、またリロードして振り出しに戻る、というようなことの繰り返しです。私は昨年は3日間観戦しましたが、D-5席のチケットを買うのに2時間くらいかかった覚えがあります。

サーキットの公式オンラインショップであることを考えると、1年に1回の一瞬の高負荷のためにサーバーの増強を考えるのは現実的ではありません(してほしいところではありますが)。ただ、多様なチケットの種類や座席配置、複雑な販売スケジュールがあるチケット販売を全てそのままローチケのような外部サービスに丸投げしてしまうのも運営上避けたいのかもしれません。高負荷に強いローチケでの先行販売もありますが、席種やブロックが限られ、チケットもローソンで印刷される味気ないものであるなどデメリットが多いです。こだわりの強いファンほどモビリティステーションでの購入を検討するでしょう。となるとやはり何かしらの対策は必要です。

仮想待合室システムの導入

そんなお祭りと化す日本GPのチケット販売ですが、今年2023年は発売直前の5月11日に仮想待合室システムの導入が発表されました。

この仮想待合室システムでは、販売サイトにアクセスした際にまず仮想待合室上に案内され整理番号が振られます。整理番号順に販売サイト内部へのアクセスが可能となり、サイトの負荷が低い状態でチケットの購入操作ができる、という仕組みです。

席種により販売スケジュールに差がありますが、それぞれの販売開始30分前から仮想待合室が用意され、そのタイミングでアクセスした場合の整理番号はその30分間にアクセスした人の中で抽選でランダムに割り当てられます。販売開始時刻より後にアクセスした場合は先着順で整理番号が割り当てられます。

鈴鹿サーキット公式サイトでの説明はこちらのページにあります。

例えば、グランドスタンドを除く指定席チケットは13時に販売開始となりましたが、この席種のチケットを購入したい場合、12時半~13時の間に販売サイトにアクセスすることで、整理番号の抽選対象になります。13時になったタイミングで整理番号が表示され、番号が早い順から順次アクセスが可能になります。13時以降にアクセスした場合は早くアクセスした人ほど早い番号が割り当てられるという仕組みになっています。

2023年のF1日本GPチケット販売に導入された仮想待合室システムで待機する様子
13時の発売直後の仮想待合室システムのスクリーンショット

これは13時の発売直後にアクセス(抽選ではなく先着順の対象)した際の画面ですが、整理番号は35438となっており、整理番号が1から振られていれば少なくとも3万人以上が待機しているということでしょう。ちなみに整理番号が300番代の人も見かけたので恐らく1から振られていると思います。この時点で待ち時間は1時間以上と表示されていますが、逆に言えばこの待ち時間の間はリロードしたり連打したりといったことをせずに待っていることができます。見積もり時間よりもユーザーの操作が早いのか、最初に表示された待ち時間よりも早く販売サイトに到達できたという報告が相次いでいたので、順番が来たときに20分以内に販売サイトに移動できるように準備しておくことが大事です。

ちなみにこの仮想待合室システムは「Queue-it」というデンマークの企業が提供するSaaSを使用しているようです。

2023年の販売状況

販売開始から3時間が経過した16時現在の販売状況ですが、Q1席(シケイン)やB2-3席(1~2コーナーの1コーナー側)は売り切れていました。また、カメラマン席は場所によって売り切れ、前売り駐車券も売り切れとなっていました。一方で多くの席が○や△の状態で、まだまだ空きがある状況です。

私が確認した範囲ですが、15時半の時点で仮想待合室システムは解除されていました。それ以降は仮想待合室を通らず直接販売サイトに入ることができます。

15時過ぎの仮想待合室システムの画面
整理番号は5万を超えた

直前の15時12分の時点で整理番号は52411となっていました。複数端末を使っている人も多くいると思われるのでそのままの人数ではないと思いますが、約5万人が発売直後にチケットを買い求めていたことになります。昨年の決勝日の観客動員数が9万4000人なので、5万というのが多いのかどうかは分かりませんが、2時間以上順番待ち状態があったという点では今年も争奪戦になったと思います。

導入は良かった?

仮想待合室システムができたことで、これまでの販売開始時刻にアクセスして運良く繋がった人から購入していく、という形ではなくなりました。強靭なネット環境と複数の端末を持ち、リロード作業をし続けられる人が有利な環境でしたが、販売開始時刻での整理番号は抽選となったことでより公平になったと思います。

一方で、販売開始時刻の時点で整理番号が3万を超えており1時間以上の待ち時間が表示されたため、これまで10分程度でチケットを購入できていた人にとってはマイナスな要素となります。また、販売開始時刻前の抽選も完全ランダムではないのではないかといった声も聞かれ、不確定ながらやや不透明なシステムだと感じている人もいるようです。販売開始時刻の30分以上前からモビリティステーションを開いていた場合、整理番号の抽選対象になるためにはリロードして仮想待合室に入り直さないといけないという罠もあり、待っていたのに買うことができなかったという人も見かけました。

より公平になった、と書きましたが、整理番号の割り当てはCookieでの制御ということで、別ブラウザや別端末でアクセスすると別のユーザーとして整理番号の抽選を受けることができます。結局のところITリテラシーが高かったり端末を複数持っていたりするほうが有利になるということで、まだまだ公平性については改善の余地はありそうです。整理番号=購入人数と言えないのもこれが理由です。

また、カメラマン席やファミリー席のような特殊で数の少ない席種についても他の通常の席種と同じ抽選対象となったため、抽選で整理番号が遅い番号になってしまった人は気が気でない時間を過ごすことになります。特殊な席種は仮想待合室から分けてもいいのかもと少し思いました(目当ての席が売り切れで他の席種にしたいときに並び直しが必要になってしまいますが)。

今年は金曜日券で

以下の記事でも書きましたが、私は今年金曜日券を購入して金曜日だけ現地観戦することにしました。

というわけで、今日の私は今年のチケット争奪戦がどんな具合か見ているだけの人でした。あまり良くないことですが、販売開始後も何度もCookie削除を繰り返して待ち列に並び直して整理番号の状況を見ていました。モビリティステーション自体に負荷を加えることはしていないのでお許しください。

金曜日券の発売は西エリア券と同じ7月9日11時からです。このときは仮想待合室システムは使われるでしょうか。


というわけで今回は、2023年F1日本GPのチケット販売で導入された仮想待合室システムの紹介でした。改善の余地はあるもののシステムの導入自体は概ね好評で、来年以降も導入してほしいという声が多いように感じます。

それではまた。

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